2005年3月アーカイブ

改めて仲介手数料について書いたのは、田舎暮らし物件の仲介の難しさ。特に賃貸物件を不動産業者が取り扱わない理由を明確にするためです。田舎の場合、賃料水準が高くありません。そして借りたいと希望する側も安いと考えているはずです。私がよくお聞きした予算は月額賃料2~3万円、多い方でも5万円程度の予算の方です。これを仲介しても業者が得られる報酬額は賃料と同額ですから、案内をしたり、引き渡しや管理の手間を考えるとどう考えても赤字になります。そして、さらに仲介手数料は成約報酬ですから、決まらなければ一円にもならないのです。
では、売買仲介はどうか。千葉の田舎物件の売れ筋は土地建物付きで1500万円前後。この場合上記計算式に当てはめると(1500万円×3%+6万円)×1.05=53.55万円。売主と買主両方を仲介できればこの2倍となりますが、ケースとしては少数。一件の取引だけみれば、こんないい商売はないのですが、

物件情報→事前の物件調査→資料作成→広告等→反響→資料送付→案内→契約前調査→重要事項説明書・契約書の作成→契約→引き渡し そして仲介責任を負います。

と考えると意外と費用、労力、時間がかかります。もちろんこれでも見合いますが、ポイントは物件を資料を請求したり、見学される方で購入される方はごく少数(見学者の1/10くらいでしょうか)だということです。そして報酬は成功報酬。実際のところ、そんなに割の良いビジネスではないと思います。
皆さんすでにご存じだとは思うのですが、念のため仲介手数料について。

1.売買の媒介(仲介)手数料
200万円以下の部分< 5%
200万超~400万以下の部分 4%
400万円を超える金額 3%
---上記に諸費税を加えた金額が上限となります---
※取引価格400万円超の速算式
 → (取引価格×3%+6万円)×1.05(消費税)

2.賃貸の媒介(仲介)手数料
通常 月額賃料の1ヶ月分
特例 権利金の額を取り引き価格として上記1の計算式で計算した金額に消費税を加えた額
---上記に諸費税を加えた金額が上限となります---

取引形態は他に代理の場合や、交換の場合等ありますが、ほとんどは上記のケースだと思います。詳しくは国土交通省の告示をご確認ください。
「宅地建物取引業者が宅地又は建物の売買等に関して受けることのできる報酬の額」(昭和45年建設省告示第1552号)

「田舎暮らし向けの賃貸物件はありませんか」よくお客様からお問い合わせを頂きました。田舎暮らしを始めようと考えたとき、大きく生活を変えるのにいきなり不動産(住まい)を購入するのは勇気のいることだと思います。まずは賃借から始めて、気に入れば購入しようと考えるとはごく自然なことだ思います。しかし、現実的には「賃借する」という選択肢はほとんどないのが実情です。これにはいくつか理由があります。1.貸したとしても大して高い賃料をとれない。2.あまり人が出入りすることがないので、新参者を歓迎しない傾向にある。  また、周囲への責任もあって貸したがらない。  特に賃貸だと、土地に根付くつもりがないのではと思われがち。3.ビジネスとして成り立たないほどの低額の報酬しか得られず、不動産仲介業者は取り扱わない。それでも、実際のところ賃借して田舎に住んでいる方も多くいらっしゃいます。その方達は、人づてで(地元の方に親類縁者がいるなど)住宅を借りているケースがほとんどで、一般的に田舎暮らしを希望されている方には、難しいでしょう。地域にとけ込めないとか、イメージと違ったといったリスクはありますが、田舎暮らしは購入を前提にお考え頂いた方がいいでしょう。もちろん購入に伴いリスクを背負うことにもなりますが、マイナス面以上に、自分のモノだという愛着や大きなリスクを背負ったからこそ出来る開き直り、適応もあります。また、購入によりここに骨を埋める覚悟だと地域の人が認めてくれることも、田舎暮らしでは重要です。
先ほど紹介した『居住福祉』を書かれた早川和男先生は、私の職業人生の師です。大学の友人には何冊も本をあげていたので、早川教を布教する信徒のようだなどと言われたものです。先生が神戸大学にいらっしゃった10年前、私が大学4年の時、アポイントも取らずに大学の研究室に押しかけたことがあります。あいにく先生は不在で、先生の著書をいくつか譲って頂いて、あきらめて帰ろうとしたところ、研究室の方が連絡を取ってくださって、なんとご自宅で会ってくださるとのこと。初対面の学生にも、気軽に接して頂けて感激しました。その後、日本住宅会議のセミナー等で何度かお目にかかりましたが、ここ何年もお会いしていません。今後も先生に教えて頂いた(私なりの理解ですが)ことを大切にして、住まいに関わる仕事をしていきたいと思っています。
居住福祉田舎暮らしとは直接関係ないのですが、住まいと関わる仕事をするようになった私の原点は、早川和男(著)『住宅貧乏物語』岩波新書です。
今から11年前の今頃、就職活動を控えていた私は、“住まいの充実なくして、人の幸せはない”(かなり安易な私の理解ですが)という本旨は、大きな影響を受けました。それから、一辺倒に住宅、不動産業界の就職試験を受け、今に至っています。
1979年3月の出版ですから、25年が経過し、少し事情が変わってはいますが、“住まい・住宅というものが、人の暮らしに与える影響”は変わっておらず、今なお、読む価値だと思っています。いかんせん古いので、著者の近著である『居住福祉』をお奨めします。都市災害でもあり、住宅災害でもあった阪神大震災や在宅介護の困難な住宅の現状や、多くの提言など。住まいを含めた居住環境の重要性を改めて認識させてくれる一冊です。
私が最初の3条件を一番先に訊く理由です。
その3条件を決める作業は
(1)やりたい・実現したいことを考える→(2)そのやりたいことを実現するために、どれくらいの土地・建物の広さが必要か考える→(3)、(1)(2)を実現するために割ける予算を考える。
という作業を必ず伴います。「田舎暮らしがしたい」という漠然としたイメージをより具体的にするには、「数字」に置き換えていく作業が、一番の近道だし、現実感を持つことができると考えてるのです。
この後、希望エリアがあればお伺いします。ただ、暮らしたいエリアについてですが、田舎暮らしをしたい理由が、「八ヶ岳を眺めて暮らしたい」とか「親友のいる信州で暮らしたい」といったケースのほかは、地域を限定する必然性はないと私は思っています。地域のブランドであったり、個々人の中でさまざまなイメージを持たれていますが、「田舎暮らし」をしたいという原点に立ち戻るとエリアの幅は広がるはずです。
前述の八ヶ岳を眺めて暮らしたい」方であっても、本当に八ヶ岳でなくてはならないのでしょうか。山が見たければ、北アルプスでもいいし、筑波山でもいいかも知れない。そもそも、田舎で暮らすということは、従前の(都市生活の)既成概念から自由になるという意味合いもありますから、最初にどこのエリアがいいと考えていたイメージは一旦捨てて、ゼロから考え直してみることは、価値があると思います。
希望エリアというの意外と当てにならないもので、最初のご希望と実際に実現されたエリアが違うということは多々あります。基本的にはどこでも「住めば都」なのですから。
お客様が相談にいらして「田舎暮らしをしたいのだけど、いい物件はありませんか」という類の相談を受けることがあります。「いい」というのはそれぞれの希望に対して「よしあし」が決まるのであって、希望に即しているかは、お客様にしかわからない。私の出来ることは、お客様の希望をお聞きして、アドバイスというか、お客様の求めているものを明確にしていくことなのだと思います。ご希望を伺うと、「広ければ広い方がいいし、大きければ大きいほどいい、安ければ安い方がいい」と答えになる方がいらっしゃいまして、最初のころは大変困ったものでした。「田舎暮らし」をお考えのかたの希望は幅広く、これでは羅針盤なしに大海原に投げ出された小舟の船頭状態です。最近では私は、必ず最初に下記の3つの条件をお聞きすることにしています。 (1)最低欲しい土地の面積 (2)最低欲しい建物の面積 (3)土地建物あわせて最高に払える金額の3つです。この基本的な条件が決まれば、物件探しはかなり楽になります。 (1)(2)は、「田舎暮らし」で何をしたいか。家庭菜園なのか、陶芸、つり、ゴルフ、庭いじり?そのために必要な土地、建物の広さのイメージして頂いて決めていく。 (3)は、はじめてもしくはほとんど知らない私に教えるのに抵抗があるかもしれませんが、予算外のものをご紹介しても、お互いにその作業が無駄になってしまいます。大枠500万円単位でも結構だと思います。たまに、これらをお聞きすると不機嫌になる方がいらっしゃいます。訊き方という点で、正直私の未熟さも多々あるのだと思いますが、ご相談を受ける上で、最小限必要なことです。そして、なにより私はお客様の立場に立って、物件を探そうと考えています。「物件探しの味方」なのです。信頼していただけたら、私の120%でお客様をサポートしていきたいと思わずにはいられません。基本的にこのことは、どの会社、営業マンでも同じだと思います。 (2)へつづく
千葉県にはたくさんの「田舎暮らし物件情報サイト」があります。千葉の田舎暮らし物件のほとんどはインターネットで探せるといっても過言ではないと思います(正直、不動産業者でも他社サイトを重宝しています)。でも、そのサイトに掲載される情報は、玉石混淆。特に今は物件・顧客を各業者で奪い合っている状態です。顧客の希望の間口を広げたいという思いから、敷地が狭かったり、分譲地の一角だったり、多少田舎暮らし向きでなくとも、「とりあえず、載せてしまえ」とばかりに何もかも掲載してしまっています。そうすると、田舎暮らしを考えている方は、さらにその洪水のような物件情報の中から、田舎暮らし向きで、ご自身の希望に叶う物件をセレクトしなければなりません。このブログでは、私の私見ではありますが、私の感覚でよいと思った「厳選!田舎暮らし物件情報」をお届けしていきたいと考えています。
これもまだ不動産物件情報言えるようなものではないのですが、昨日九十九里町に行って来まして、改修中の住宅を見てきました。物件は鰯の産地として栄えた九十九里町らしく、鰯御殿と言われる立派な住宅が建つ一角にあります。
海産物を扱っていたという旧家を全面的に改修していました。400坪を超える敷地に、背の高い化粧造りの母屋、立派な倉、倉庫、物置の3棟が建っています。母屋は重量感あるしっかりとした建物で、浴室、洗面トイレなどの水回りや内外装を全面的に改修しています。高い天井に、太い柱、幅広の無垢材の天井板、通しの丸桁やケヤキの敷居等々、用材が素晴らしく、建物だけでも一見の価値がありそう。その他の建物はアトリエや工房など様々な用途が考えられます。
県道沿いなので、多少車の音が気になりますが、これだけのお宅なので、おそば屋さんなど、古い建物の良さを生かした店舗にもいいかもしれません。今月末には工事が完了するので、詳細をお知らせ出来るかと思います。

心理的瑕疵物件の続きというか蛇足です。世の中には霊感の強い方がいて、霊が見える方がいるそうです。私は全然見えないので、よく分からないのですが、霊の存在は信じています。霊感とは違うと思っているのですが、私は自殺物件とか、破産物件といった訳あり物件はすぐに分かります。上手く説明できないけれど、その空間に流れている「違和感」のようなものがあって、家のなかに入ってはもちろん、家の前を通るとなんとなく感じます。それでも、それは違和感なのです。残像というか、痕跡みたいなモノであって、その後そこに住む人が大切にして行けば、跡形もなく消えてしまうものです。人も物も全てですが、大切にされたり、愛情を注がれれば、嬉しいわけです。それが、全てのことにいい方向に働かないわけないじゃないですか。なにも、私は心理的瑕疵物件をお奨めしているわけではないですけれど、大切なのは今であって過去ではない。過去は消せませんので、これから大切にしていけばいいのですから。あ、心理的なものですから、お祓いとかしてもいいかもしれません。

765a155a.jpg 私が最近まで(2005年1月まで)働いていた「ふるさと情報館」代表佐藤彰啓氏による田舎暮らしの入門書。田舎暮らしを考えるひとに必携の一冊『田舎暮らし虎の巻』。 田舎舎暮らしにまつわる問題を具体例を交えながら詳説。不動産取引の手引きから、心構え、農地法のことなど内容盛りだくさん。田舎暮らし虎の巻101条だけでも目を通したい。 「ふるさと情報館」は日本で唯一といっていい全国取り扱いの田舎暮らし専門不動産業者です。おそらく、田舎暮らしというカテゴリーの中では、契約件数も一番ではないでしょうか。そして、不動産屋の顔もありますが、実現したいのは「田舎での生活」「都市と地方を結ぶ」といった、ただ不動産を売るというスタンスとは一線を画した営業をしています。 自分がいたところなので、上手く書けないですね。でも、本当にいい本だと思います。著者がライターとして取材したのではなく、田舎暮らし不動産取引の現場から、現実に即した本が出てくることはこれからもまずないのではないでしょうか。
「inakagurashi-blog.com」のドメイン取れました。自分だけのドメインうれしいですね。さあーって盛り上げていかねば。
 私が実際にこの中で一番割安感があると考えるのは、3番目の心理的な瑕疵物件。もちろん複合的瑕疵が積み重なっていくケースもありますが、基本的にこれは「気にするかしないか」なわけです。特に最も問題が少ない割りに嫌われやすい「自殺物件」。人は必ずいつかは死ぬわけです。死者に敬意を払うのは当然としても、それによってその土地建物を忌み嫌う必要はないというのが私のスタンスです。すべてのものには命があって、家は多くの木や植物を使って建てられている。そのことに敬意を払えば、忌み嫌うのではなく、大切にしていかなくてはならないと思います。
要は考え方次第です。以前は競売物件(破産物件)も嫌われていましたが、今では名証上場の「株式会社やすらぎ」さんをはじめ、多くの業者さんの活躍もあって、中古住宅供給源となり、ほとんど気にする人はいなくなっていますから。
 一般の不動産取引市場に出てくる「掘り出し物(割安な不動産)」は、いくつかのパターンがあります。そしてそれには物件もしくは売主にまつわるネガティブな要因がある場合がほとんどです。その訳(理由)の程度によって、割安度が決まってきます。
 (1)売り急ぎ→売主が何らかの事情で、物件を売るのを急いでいる。借り入れの返済であるとか、相続などで、換金の必要があるとき等。
 (2)瑕疵物件→物件に何らかの瑕疵(きず)があるとき。大別して、接道条件を満たさず再建築不可であったり、再建築の際同じ大きさの建物が建てられない既存不適格物件やなど、「行政上の規制からくる瑕疵」。地盤画軟弱であったり、建物に雨漏りや傾きなど「物理的に問題がある瑕疵」。そして、家や敷地のなかで、自殺や殺人があったとか、近くに暴力団事務所があるといった、現実に何らかのか問題があるわけではないけれど、気になるという「心理的な瑕疵」の類型があります。
 そうです。訳がなくて掘り出し物というのはないと思っていただいて間違いない。目玉商品でお客を呼んで、ほかの商品も買ってもらうなんてことは不動産の場合できないのですから。
 不動産業を営業していると、たまにお客様から「掘り出し物はないの?」というご質問をいただくことがあります。不動産の場合、いくつか例外というか「訳がある物件」のほかは、基本的に市場に出てくることはまずないと思っていたほうがいいと思います。
 なぜ?って簡単です。不動産の情報は不動産業者に集まってくるわけですから、いわゆる掘り出し物があったら、業者がすぐに買ってしまうからです。そののち、敷地を分割したり、リフォームをするなど、少し加工をした後、市場価格で売りに出されます。
 折込のチラシを見てください。「内外装リフォーム済」と書いてある物件が目に付きませんか?このほとんどは不動産業者が一旦買って、手を入れてから販売しています。このため、一般のお客さんのもとには、「掘り出しもの」情報が届くことはほとんどないのです。
 例外的に出てくる訳がある物件(「以下、訳あり物件」という)については次回につづく
とにもかくにも、つれづれなるままにコメントをかき続けていこうと思っています。カスタムという項目があるので、自由にデザインできそうなこと発見しました。そのうちもっとデザインを良くして、読みやすくしていきます!あ、inakagurashi-blog.comのドメインは今日とりました。
今日、千葉県夷隅郡夷隅町の荻原という地区にある古民家物件を見てきました。まだ、敷地の整備や建物の解体等を行っている状態でしたが、北に裏山を背負った絶好の民家物件です。大規模に改修予定とのことで、完成が楽しみ。また、詳細が分かり次第お知らせ致します。
 あまりにかわいいデザインなので、ちょっと困るくらいかわいいのですが、しばらくこれで行こうと思います。
 明日あたりから本題の田舎暮らしについて記述していきますね。
ブログ、簡単は簡単なのですが、htmlを使ってHPを作っていたので、デザインが思い通りにならないのが、少々難点かなと。とにかく、青空に青の文字色だけは変えたい。
はじめまして。千葉県を中心とした田舎暮らしの生活情報、物件情報を提供していきます。

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