2005年10月アーカイブ

先日通称「がけ条例」について書きましたが、補足です。例外規定があるんですね。-----千葉県夷隅地域整備センターHPからの転載です-----
1.がけの下に建築物を建築する場合において、次のいずれかに該当するとき。
 a.建築物の外壁及び構造耐力上主要な部分(がけの崩壊による衝撃を受けるおそれのない部分を除く。)を鉄筋コンクリート造(がけの崩壊による衝撃に対し破壊を生じないものに限る。)その他これと同等以上の耐力を有する構造とし、かつ、必要に応じ当該外壁の開口部からの土砂の流入を防止するための有効な壁等を設置するとき。
 b.がけと建築物との間に、がけの崩壊に対して建築物の安全上支障のない塀等が設置されているとき。
2.建築物を建築する場合において、 建築物の位置ががけから相当の距離にあり、 がけの崩壊に対して安全であるとき。
3.建築物を建築する場合において、 構造耐力上安全な擁壁が設置されているとき。
4.建築物を建築する場合において、 がけの形状及び土質により、 がけの崩壊のおそれがないとき。
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要は崖崩れしないであろう状態であればよいわけです。行政として「こういう崖地は危ないですよ」と警告・注意をしておいて、でも「自分で特別に措置をするか、安全だと証明すれば良いですよ」と言っているわけです。これは行政の責任逃れというか、不作為責任を問われないための布石です。ですので、補強工事や土質調査(たとえば岩盤だったり)を行って一定の安全性を担保すれば、基本的に自己責任で住む分には認めることになります。
私は建物が好きです。いつからなのだろうと考えてみると、もしかしたら幼稚園からなのかもしれないです。私は長久寺というお寺の幼稚園だったのですが、そこの本堂で座禅をしたり(させられたり、でも好きでしたけど)、していました。信仰の対象(の一部)として建てられた建物ですから、当然造りもいいですし、やはりそこに流れる「空気の質」は異なります。
私は以前「訳あり物件」の項で書いたかもしれませんが、神であったり霊というようなものの存在を信じています。でもそれは、外部からの力として私たちに働きかけてくることはない(現世利益であったり、たたり、のろいのようなもの)ですが、心に働きかけてくる(内部的な影響)ことはあると思います。私が建物を好きなのは、子供の頃にそんな建物に触れていたからではないだろうかと思うのです。
さて古民家の話です。私は古民家はかなり好きです。大事にされて使われているものは私が手を出すまではないのですが、荒れてしまった古民家を見ると、私自身で手を入れて直したくて仕方がない。現実に手を入れて仕上がった姿を見ると本当にいい仕事をしてるなと思います(自分で言うのはなんですが・・・)。私個人にとっても幸せなことですし、もちろん「古民家」という建物そのもの、そこに使われている木々、そして建てた人たち(大工や職人)の想い、そこで暮らしてきた人たちの想いを大切にしていく。単純に「いいことだな」と思います。
古民家が売りに出されるとき、そのままでは現代的な暮らしが出来ないものがほとんどです。そういった物件を購入された方の改修のアドバイスもしていきたいと思います。もちろん建築家の方、工務店からのアドバイスも必要ですが、「建築・建設」という造る側ではなく、「暮らす」という立場からのアドバイスや全体のコーディネートをしていきたいと思っています。
最近、新規にご案内する田舎物件の紹介がなくてすみません。千葉にもことあるごとには行ってはいるのですが、ご紹介するに足りる物件がないと言うのが現状です。多数ある田舎暮らし不動産サイトに掲載してある物件ならば、ほとんどカバーできますが、敢えて他の業者さんと同じ物件を載せるまでもないかと思っています(ご紹介は出来ます)。
私は基本的に正直なもので、自分が良いと思った物以外は余り紹介したくない。紹介するとしても、私の思う良くないところをお伝えしてしまいます。ですので、たまにお客さんから「紹介したくないの!」と怒られたりします。あくまで、私の見方ですので、正しいというわけではないのですが、これも私の不器用なポリシーです。
そう言っても生きて行かなくてはならないので、がんばって物件の紹介をしていきますので、よろしくお願いします。
「気に入った物件が見つかった」。大きな買い物ですからいろんな事に何となく不安に思うことがあるかと思います。その際、「自分で市役所や県庁であったり、法務局へ相談・調査をして不安を解消しよう」とお考えになることもあるでしょう。でも、私は基本的にはお奨めしません。所有者との直接取引である場合は、自分が行動するしか方法はありませんが、仲介業者が間に入っている場合は、仲介業者に調査を依頼しましょう。仲介業者の責務として、調査義務がありますし、物件情報の提供・案内だけでは、成約報酬・物件価格の3%+6万円(別途、消費税)は高すぎます。きちんと動いてもらいましょう。
私が業者に調査を依頼すべきだというのには、労力の問題もありますが、相談や調査の仕方、聞き方が問題だと考えているからです。ポイントをはずしてしまうと目的とする事項を的確に調査出来ない事や、時には「やぶ蛇」になったりすることもあります。特に田舎の場合、都会と勝手が違います。集落のルールや慣習がある場合もあります。仲介業者に納得いくように調べてもらって、教えてもらいましょう。
どうしても、その業者の調査結果や説明が不十分で、信用ならないと感じたら、自分で調査することも必要かもしれません。ただ、私は、信用出来ない業者が間に入っているなら、取引自体を中止すべきだと思います。ですので、調査は基本的に仲介業者の専管事項だと思っていて良いと思います。
農地は農地法上の許可を得ないと住宅を建てられないという話を書きましたが、他の用途に使用する場合はどうでしょう。
第二の人生「田舎暮らしで、長年の夢だった自宅兼用のお店を経営したい」というようなケースのご相談をよく頂きます。このような場合、もちろん現在も地目・宅地の土地は一切規制なく、建物を建てることが出来ますが、自宅としてまた営業上のロケーションや価格も含めて、農地に白羽の矢が立ったとします。
専用住宅の場合と同様に、農地法上の許可を得なくては、店舗併用住宅の建築はできません。ただ店舗併用場合、住宅の場合事実上の上限となっている500平米という転用面積は緩和されます。そう「事実上」というように、実際は住宅の場合でも農地法で明文化された500平米という数字は出てきません。住宅としての「適正規模」ということであって、極端な話、三世代10人兄弟、計14人の住宅を建てるならば、1000平米くらい農地転用してもいいということになるのではないかと思います(実際に相談したという話は聞きませんが・・・)。
それが店舗兼用住宅であれば、比較的簡単に「適正規模」を説明できます。自宅とお店の面積は大小あるにせよ、地方ですから駐車場スペースが必要です。簡単に500平米という枠は超えることがほとんどでしょう。要は、事業計画と建築計画が整合性があれば、500平米を超えた農地転用であっても基本的に農地法の許可が得られます。
物件を説明するときに出てくるいいロケーションの代名詞「北に裏山を背負った住宅」は、以前(昔)からの宅地であることが多い住宅建設の一等地です。南から見た雰囲気がとてもよく、日当たりに優れ冬の北風をさえぎってくれます。でも、今は困ることがあります。おそらくどこの県でも近い内容の規制があるかと思いますが、千葉県には通称「がけ条例」があります。正確には「建築基準法施行条例第4条」というのですが、簡単に言うと「がけがある場合、がけから一定の範囲には建物を建ててはならない」というものです。詳しくは千葉県のページに書いてありますので、ご参照いただければと思います。
購入しようとする物件が更地の場合は、具体的に建築する建物の図面を持って、県の地域センターで相談をすれば回答してくれます(実務上は“がけ高”の判定など、かなり大変です)から、一応の結論が得られます。規制の対象になっても、何らかの対応策を施すことによって、建築が可能となります。でも、現在建物が建っている場合は複雑です。現状を役所に確認しても、答えは出てきません。「建築する際に相談に来てください」の一点張り。「今はどうすれば建築出来たとしても、将来は法律も変わるかもしれないので、回答できない」のです。でも、これには裏があって、「相談しに来てください」なのです。要は相談に乗って、何らかの救済措置を取るというのが現状です。でも、このことは誰も保障できません。役所はもちろん、仲介業者や所有者もです。ただ、田舎の古くからの集落では、がけ条例の規制対象地はたくさんあって、法律(条例)が出来るはるか昔から、そこに人が住んでいたわけです。それを法律を後から作って、住宅を建築できない土地にしたとしたならば、土地は無価値となってしまいます。これはまさしく憲法の保障する「私有財産の侵害」でしょう。公共の福祉に反するとしても、保障は必要です。
でも、そもそもそこには長いこと人が住んできたわけです。先人があえてその場所を選んで建物を建ててきた。これは経験的に安全であるということだと思います。ただ、そうだとしても裏山を背負った絶好のロケーションをお探しの方には、「がけ条例」はつき物なので、その内容をご確認いただければと思います。
「理想の住宅」というと大げさなのですが、今度、私の考える「いいと思われる住宅」を新築予定です。間取り、空間構成等「設計」「建築作品」としてみたら平凡ですが、使いやすいプランです。最終的にはもう少し揉んで仕上げるので、変更もあると思いますが、後日また報告をさせていただきます。あ、新築予定と書きましたが、私の所有物ではありません。他の親しい会社が行うプロジェクトに参加していますので、販売を委託される予定です。場所は千葉市ですので、一定期間モデルハウスとしても見学が可能ですので、お時間あれば見ていただくと幸いです。
「良すぎて買えない=手に負えない」の欄で少し触れた私の考える「理想の田舎暮らし物件」について書いてみようと思います。前提条件は、(1)50代以降の夫婦2人(2)たまに友人や子供・孫たちの来客がある。とします。
まず敷地の広さ。個人差はありますが、ご主人一人で管理できる(しやすい)のは、建物や車庫、家の廻り50cmの空間をのぞいて実質100坪程度の庭ではないでしょうか。そうすると、建物面積、駐車場、家の廻りの空間を入れて約150坪程度です。ところが、お客さんの多くはこれより広い面積を希望されます。その理由が、周囲との関係。何となく隣が気になったり、家の前を人や車が通る。また、陽当たり風通し、眺望などを得たいという事になると、200坪程度はあった方がいいかと思います。建物の広さ。夫婦2人ですから、一つの寝室とLDKがあれば最小限の暮らしが出来ます。でも、歳を重ねれば重ねるほどプライベートな空間は必要です。まして以前は平日昼間、場合によってはほとんどご主人が自宅に以内暮らしを送ってきた現役時代からいずれは、リタイア後、「四六時中二人の暮らし」となります。加えて、移住すると言うことは、奥さんが長年地域で親しくしていた友人たちにすぐに会える(逃げられる)状況ではありません。同じ家にいても違うことの出来る空間、邪魔されない空間は必要でしょう。ということで、一人(主として奥さん)はLDKにいたとして、寝室以外にもう一部屋は必須です。出来ればもう一部屋あれば言うことなしです。それに、このもう一部屋は来客時の客間になります。それが子供や孫であれ、泊まりやすい部屋があるかないかは、足の重さが違います(迎える側の気の軽さもしかりです)。と言うことで間取りは3LDK、各部屋はさほど大きい必要はないので、だいたい25坪から27坪程度ではいかがでしょう。あ、もちろんこの建物は平家に限ります。悲しいかな歳はとる一方です。どうやったって動けなくなって(動くのがしんどくなって)いきます。バリアフリーの平家建てが一番でしょう。
あとは周囲の環境ですが、やはり買い物便が良い方がよいでしょうし、交通の便も良いに越したことはない。でも、これは暮らし方でどうにでも成ります。今は食べ物は宅配で取り寄せることが簡単ですし、交通の便だって、たまの移動、タクシーだって使っても良いですし、バス停まで行ってゆっくり出かけても良いでしょう。
それより気にしたいのは周囲の環境です。陽当たりがよいこと、静かなこと、この二つだけは必ず手に入れたいです。
先回「農地の購入について」を書きましたが、農地を借りる方法について書きます。
農地は農地法によって権利の移動が制限(保護ともいうのでしょうか)されています。それは売買だけでなく、貸借にもあてはまります。このため、農地を借りる(貸す)にも農地法上の許可が必要となります。しかし現実には農地法の許可を得ずして貸借されるのが大方です。農家同士でも、田畑の貸借は行われていますし、農家以外の方が借りることもあります。ちなみに「貸し農園」であったり、「クラインガルデン」も、本来は農地法3条許可を得なければならないのですが、「農地の賃貸」ではなく「農園への入園料」としての扱いにして逃げているケースがほとんどです。さらに言えば、宅地を家庭菜園にすることも農地法により「違法耕作」として規制される行為です。そこまで規制できないのが現実ですし、耕作放棄された農地が年々増えていっている現在の情勢を鑑みれば、現実に即していないのは農地法でしょう。特に農地を農地(家庭菜園)として貸借することを規制する社会的必要性は皆無だと私は思います。
さて、建前論(法律論)はさておき、田舎暮らしをお考えの一般の個人のお客さんにとって知っておいた方がよい程度の「農地の貸借」の概略を説明します。
3つのパターン分けをします。
1. 農地を農家として借りる
2. 農地を家庭菜園用地として借りる
3. 農地を駐車場など別の用途で借りる
まず、1の場合ですが、多くは「農家資格をとって農地の所有権移転をする」ことが目的の場合だと思います。購入する物件に農地が含まれているが、5反に満たないので、足りない農地を借りて、最低耕作面積を満たした上で3条許可を取ると言うような場合や5反以上の農地を買って農家を始める(皆無に近いと思います)。この場合は、正式に(少なくとも書類上は)農地法の許可を得ることになります。
2のケースがもっとも一般的でしょう。この場合は、他の物の貸借と同じように私人間の合意によって貸し借りを行います。田舎暮らしで家庭菜園用地として借りる場合一反以下が多いのですが、賃料は年間1、2万円程度や盆暮れの心遣い(お酒など)の場合もあります。
ちなみに農地法の許可を得ていませんので、正確には「闇小作」になります。
3は駐車場としてごく少ない面積を借りると言うような場合がほとんどです。この場合も2と同じく私人間の合意のみによって貸借します。ただ、長く使いたいのならば、農地法の許可を得ることは可能なので、5条許可を得て正式に借りるか、買った方がいいと思います。別の話として、「農地を借地で借りて、建物を建てる」事も可能です。田舎では体裁もあって「農地を売りたくない」こともあるので、「貸すならいい」ということもあります。この場合は、農地法5条許可を得ないと建物の建築が出来ません。

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