住は聖職なり

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構造設計事務所の偽造により建築基準法の耐震基準に満たない建物が建てられたというとんでもない話が先週発覚し、世間を騒がせています。施主、発注主が強制したとか、共謀したとかいろいろ言われていますが、私の感想というか意見です。
根本として、「住」に関わる仕事は、聖職だと思うのです。「住」はそこで暮らす人たちの生と死、幸不幸に直結します。私が師と仰ぐ早川和男先生は、「安心して暮らせる住まいは誰にも平等に保証されるべき基本的人権」であると説きます。聖職というと宗教者、医者、教職等がすぐに思い浮かぶのですが、「住」に関わる仕事も間違いなく聖職です(もちろんそれ以外の仕事でも、軽んじていい仕事はほとんどないと思いますが)。ですから、お客さんに多大な迷惑をかけるような今回の事件は信じられない行為ですし、許せないことです。決してあってはならない。しかし、全般として「住」に関わる仕事をしている人は、意外にモラルが低い場合が多い。
今回の事件は、設計はもちろん、施工、発注者、監督者(建築確認)など、複数の職域、職種が関わっています。どこかが、正常に機能していれば、防げた事態だと思います。いかに構造設計を変えても、工法が変わらない限り、構造躯体が大きく変わる事はないわけです。それは、設計が専門でなくとも、発注者、受注者としてのコストから見た目、施工者として現場の目で経験上すぐにわかる範囲だったと思います。一連の工事に関わった人たちで、実際に疑念を抱いた人も多くいたはずです。
この問題はたまたま露見しただけで、氷山の一角だという見方もあります。今回の問題を含め過去の問題は何らかの方法で解決していくにせよ、少なくともこれからは、よりいっそう気を引き締めて「住」という仕事に取り組んで行かなくてはならないと思います。

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このページは、エートスが2005年11月25日 18:15に書いたブログ記事です。

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