売り止め物件

不動産広告を見て業者に電話をしたら、営業の担当者が「そちらは売り止めになってしまいまして」と歯切れが悪そうに答えることがたまにあります。この“売り止め”という事の話です。
これは単純に物件売却を依頼していた売主(所有者)が、「売ろうと思ったけれど、やっぱり売るのやーめた」と、業者に売却の依頼を取り消した状態です。「もう少し高く売れるかも」であったり、「親や子供に反対された」「病気になった」「買い換え物件にローンが付かなかった」など、その理由は様々です。
田舎で結構多いのは、「親戚に反対された」と言う理由です。特に古い農家などの場合、家(住宅)は、個人のものではないという側面があります。長い間“家”が続いていると、今の所有者は単なる“名義人”みたいなもので、真の所有者はその家の親戚も含めた家(いえ)なのです。家の周りには田畑があり、お墓があるとすると、特にその傾向は強くなるでしょう。
理由はともかく売りに出していた物件が売り止めになると、物件は一旦は市場から姿を消します。でも、一度は売りに出したわけですから、売りたい都考えた理由はあったのは事実なので、再度売りに出てくることもままあります。ただ、その時に高く出てくるか、安く出てくるかもわかりませんし、期待はしない方がいいでしょう。
不動産を業をやっている立場もありますが、私は“人が住まなくなった住宅”は出来るだけ早めに売却なり貸すなりして、人が利用した方が賢明だと思っています。人が住まなくなると家は建物も急速に傷みますし、敷地もあっという間に荒れてしまいます。荒れないように管理することは大変ですし、一度荒れてしまった家を元通りにするには、多額の費用と多くの労力を要します。
当然のことですが、家は元々人が住むための物です。住まなくなったらそれは家ではないわけです。売却時の経済的価値もそうですが、今なら使える住宅が荒れて、直さなくては使えなくなってしまうという社会的な損失を考えて、是非住まなくなった家の売却をご検討いただけたらと思います。また、古民家、旧家などの歴史的な価値を持つ場合は、さらには文化的な損失にもつながります。重ねてお願いします。私としても、古く良い物は大事にして、また次世代に引き継いでいきたいし、そのお手伝いが出来たら幸せだと考えています。

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このページは、エートスが2005年7月 4日 15:15に書いたブログ記事です。

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