裏山を背負った住宅

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物件を説明するときに出てくるいいロケーションの代名詞「北に裏山を背負った住宅」は、以前(昔)からの宅地であることが多い住宅建設の一等地です。南から見た雰囲気がとてもよく、日当たりに優れ冬の北風をさえぎってくれます。でも、今は困ることがあります。おそらくどこの県でも近い内容の規制があるかと思いますが、千葉県には通称「がけ条例」があります。正確には「建築基準法施行条例第4条」というのですが、簡単に言うと「がけがある場合、がけから一定の範囲には建物を建ててはならない」というものです。詳しくは千葉県のページに書いてありますので、ご参照いただければと思います。
購入しようとする物件が更地の場合は、具体的に建築する建物の図面を持って、県の地域センターで相談をすれば回答してくれます(実務上は“がけ高”の判定など、かなり大変です)から、一応の結論が得られます。規制の対象になっても、何らかの対応策を施すことによって、建築が可能となります。でも、現在建物が建っている場合は複雑です。現状を役所に確認しても、答えは出てきません。「建築する際に相談に来てください」の一点張り。「今はどうすれば建築出来たとしても、将来は法律も変わるかもしれないので、回答できない」のです。でも、これには裏があって、「相談しに来てください」なのです。要は相談に乗って、何らかの救済措置を取るというのが現状です。でも、このことは誰も保障できません。役所はもちろん、仲介業者や所有者もです。ただ、田舎の古くからの集落では、がけ条例の規制対象地はたくさんあって、法律(条例)が出来るはるか昔から、そこに人が住んでいたわけです。それを法律を後から作って、住宅を建築できない土地にしたとしたならば、土地は無価値となってしまいます。これはまさしく憲法の保障する「私有財産の侵害」でしょう。公共の福祉に反するとしても、保障は必要です。
でも、そもそもそこには長いこと人が住んできたわけです。先人があえてその場所を選んで建物を建ててきた。これは経験的に安全であるということだと思います。ただ、そうだとしても裏山を背負った絶好のロケーションをお探しの方には、「がけ条例」はつき物なので、その内容をご確認いただければと思います。

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このページは、エートスが2005年10月15日 17:08に書いたブログ記事です。

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