NHKの番組

今日の朝TVをつけたら、NHKの『生活ほっとモーニング』で“あなたは老後をどこで誰と暮らしますか”というテーマで番組を放映していました。チラッと最初のほうを見ただけなので、どういう形で番組が終わったのかは知らないのと、この話はブログでさ“ささっ”と書けるような簡単な問題じゃないので、私が気になった一部分について書きます。
島根県西ノ島町に移住した大阪のご夫婦の話です(あ、これはあくまで取材対象となった個人に対してのコメントではないので、その点はご理解のうえお読みください)。過疎対策として行われている「50歳以上の夫婦に対し空き家を安く貸し出す移住促進事業」を利用して移住し、静かな環境の中で、落ち着いた充実した老後を実現している。そして経済的にも安定し、良好な人間関係も築いている。ご夫婦にとってはおそらくこの移住は成功だったのだと思いますし、うらやましくさえあります。でも、私には腑に落ちないことがありました。
(1)支援策の50歳以上の夫婦に空き家を安く貸し出す
(2)ご夫婦が以前の経験を生かして、ボランティアをする、安く仕事を請け負う
今まで社会を支えてきた高齢者の、老後の生活費不安がないことは社会として健全です。また、経験を生かして地域の人に奉仕する、これもとてもいいことだと思います。でも、気になるのは“50歳以上=高齢者”と“安く”もしくは“ボランティア=無料”いう3点です。これでは、若い人はこの地域では暮らせなくなってしまいます。我々若い世代が、同じ仕事をしようとしようとしても、安い住居と年金に裏打ちされた“安い人件費”に加えて、経験も実績も上ときたら、とても勝負になりません。“仕事がないと当然生活できないので、ここには住めない”わけです。
今の社会の中で、確かに高齢者は社会的な弱者である面は否定できないと思います。でも私はそれ以上に今の働き盛りの世代以降ももっと大変なことになっていると思います。それには若者が、つらい仕事を我慢してやらない、仕事の結果を短期的に考えるなど、我々自身が逃げている部分も多いのだと思います。だとしても、将来の未来のことを考えると、高齢者より若い世代に目を向ける必要があると思います。地域のあり方としても若い世代を支援する働きを担ってもらうというような形で、お互いがよい関係を作って行くべきでしょう。
この番組の具体的なケースでいえば、安い賃料で貸すのは若い世代にして、高齢者には相当の賃料で貸す。左官工事やを安くやってあげるのではなく、左官工事をやる若い世代に教えたり、洋裁を教える先を若い世代にし、技術を習得した若い世代が正規のお金をもらって、生計を立ていく。
このことに限らないのですが、私がいつも考えているのは、「相互にいい関係を作っていくためにはどうしたらいいか」ということです。それは高齢者と若い世代という対比だけでなく、都会からの移住者と地元の関係であったり、お客さんと仲介業者(不動産会社)であってもです。
会社を興してからなおさら思うのですが、本当に“生きていく”って大変なことです。物事には多面性がありますし、それぞれの事情もあります。ただ、この番組だけでなく、“田舎暮らし”に携わっている中で、「田舎には若い世代が本当に少ないと」と感じているので書かせていただきました。

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このページは、エートスが2005年6月24日 23:18に書いたブログ記事です。

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