2005年5月アーカイブ
通常購入希望者が媒介契約を事前に(たとえば実際に買う2ヶ月前)締結しない理由ですが、物件の購入に関する専任媒介契約を結ぶと、他の仲介業者からいい物件がでてきても、必ず専任で依頼している業者を通さなくてはなりません。そうすると、物件選択の幅が狭められることになりかねないわけです。「百害あって一利なし」というわけです。
でも、最近私の考えは少し変わってきています。仲介業者はどうして建設省告示により、売買価格の3%+60,000円+消費税を請求できるのでしょうか。3000万円の物件の場合、100万8,000円(税込)もいただけます。仲介業者大もうけ間違いなし!!ところが、意外と儲かってないんですね(※注)。その最大の理由は、物件価格が下落して、手数料の単価が下がり、売上げが低迷しているにも関わらす、広告費、調査費等の営業経費は変わらずかかる。そう、意外に経費はかかるわけで、それを回収する術は、ただ一つ『成約による手数料収入』しかないのです。不動産業を別名「千三つや」ということがありますが、それ位の成約率の中で仕事をしているのです。だから、売買価格の3%+60,000円+消費税いただいていても経営はぎりぎり。「さすが建設省!生かさぬように殺さぬように、絶妙な落としどころ!!」と感心してしまいます。だとしたら、簡単!購入希望者と専任媒介契約を締結して、必ず、ある会社を通して購入してもらえば儲かること間違いなしです。
これによる購入希望者のメリット。そこで得られる利益をサービスとして還元させましょう。それはもう、事細やかなサービスが期待できます。多かれ少なかれ、我々は「この人は本当に買うお客なのか、他の業者に持って行かれてしまうのではないか」と疑心暗鬼で接しています。それに対し、「私はあなたの会社を通して、必ず買います」と宣言し、契約までしてしますのですから、もう一所懸命働くこと間違いなしです。
購入希望の方が、悪意でやっていることはほとんどないのですが、結果として買わないお客さんに振り回されるということは多々あります。そのお客さんに手間取っていて、本当に買う(結果論ですが)お客さんへの応対がおろそかになる。営業としては、買うお客さん、買わないお客さんの見極めがとても重要な訳です。このことは不動産業にかかわらず、ほとんどすべての営業で同じだと思うので、共感できるかと思います。
買いの専任媒介契約、すこし考えてみる価値ありませんか?実際、業者の見極めが難しいとは思いますが・・・。
※不動産業者の業界団体である(社)全国宅地建物取引業協会連合会の平成16年『中小不動産業経営動向調査』でも「よい」と答えた業者より「さほどよくない」(317)「悪い」(123)との回答が圧倒的に多い)。調査は中小対象ですので「情報公開の世の中で、大手の攻勢に中小企業が太刀打ちできない」といった面もあるかと思いますが。
私が就職活動をしたのは、もう11年も前のことですが、その時の話をちょこっと。
私が大学に入学したのは1991年(14年前)、その当時はまだバブルの余波がまだ残っていて、就職戦線異状なし。学生の売り手市場だったわけです。その3年後、ひどかったですね、就職戦線ぼろぼろ・・・。私はいくつ落ちたか分からないほど、就職試験で落ちました。もともと堅い両親からは「不動産業」のイメージが悪く(バブル直後ですし、「不動産屋=地上げ屋」みたいなイメージもありました・・・)、結構反対もされました。
それでもやっとのことでいくつか内定をもらって、最初に入った常和興産という会社に就職。最初に配属された「住宅事業部」で私の不動産屋人生は始まったわけです。つづく!
田舎(田舎暮らし向き)物件の流通について。
そもそも、田舎物件の定義が必要かと思いますが、私としてはアバウトに「分譲地ではない敷地100坪以上、かつ坪単価10万円以下の土地および建物付きの土地」と考えています。
意外と流通量は少なく、建物付きは特に少ないです。そもそも人口が少ないので、家も少ないのは、当然と言えば当然。土地はあるといえばあるのですが、田舎の土地は、平らなところは「田」「畑」の農地、傾斜地は「山林」「原野」がほとんどです。建物が建てられそうな、平らな土地である農地に関しては、「農地法」という農地を守る法律があって、簡単に宅地への転用はできません。できたとしても、一定の制約があってやっぱり、市場への流通は少ないわけです(この農地法については別の機会に書きたいと思います)。
そんな中で、出てくる物件にはいいもの悪いものがあるわけで(田舎暮らしに向く向かいないという意味も含めて)、お客さんが探しているような「いい物件」というものは本当に少ない。ですので、私たち(田舎暮らしを扱う業者)が見て「いいなあ」と思う物件は、ほぼ間違いなく売れていきます。こといいものに関しては、流通より需要の方が多いのは不動産に限らず同じだと思いますが、不動産は同じものが2つとしてないという点において、特別です。それを掴まえられるかは縁も運もありますので、いい物件に出会ったときはその点も考慮して、検討いただけるといいかと思います。
でも、この時期は避けれるものなら避けていただいたほうがいいと思います。ひとつには道が込みすぎること、移動時間もさることながら、疲れてしまっていては、物件を見る感性が衰えているに決まっています。また、それは案内する側から見ると、同じく混んだ道は時間と労力の無駄になりますし、「行楽ついで」で、買う気はないのかなと邪推をしてしまいます。お互いにとってメリットが少ないんですね。
買う方は出来るだけ高く売りたい、売る方は出来るだけ安く買いたい。これは当然なことです。売買契約が成立するとき、お互いがどこかで折り合いをつけなくてはなりません。そんなことを言っても、最終的にお金を払っているのは買主になるわけで、それは売主はもちろん、売主側の仲介業者、買主側の仲介業者であっても変わることはありません。だからといって買主(正確にはまだ契約していないので、「買主になる可能性のあるお客」ということになります)が、好き勝手やっていいかというと、一定のルールがあると私は考えています。結局は交渉ごとですし、相手の立場を考えて、面子も立てながら交渉しましょう。
(1)交渉は仲介業者を必ず通す
→これをやらないと仲介業者の面子丸つぶれですし、何より交渉された売主が困ることになります。
(2)価格が下がったら必ず購入する旨の意思表示をする
→希望価格になったのに買わない、売主からの抗議の矢面に立つのは業者です。
(3)あまり無理を言わない
→私は基本的に売り出し価格の10%が交渉の最大幅だと思います。それ以上だと、やっぱり売る側の事情を無視し、査定をした業者の面子をつぶすことになります。
(4)物件の悪い理由を挙げて、価格が割高だと主張しない。
→気に入ったから購入したいわけですから、予算の都合とだけ言うのがいいでしょう。個々の売却理由はわからないですが、愛着を持って暮らしてきた家(伴侶や子供のように思っている方も多い)です。できれば住宅を大切に使ってくれる方に譲りたいと願うのが普通です。
ほかにもいろいろありますが、基本的なことを4つ書きました。なににせよ、間に入っている業者さんとよく相談の上、価格交渉をおすすめください。あと、最後ですが、「損して得とれ」ではないですが、金額だけでは計れない、人間関係というものを作れる交渉をしてみてはいかがでしょうか。